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利用者さんと仲良くなるのは良いことだけど、
どこまでプライベートに踏み込んでいいんだろう?
適切な距離感がわからない…

これから現場実習が始まるけど、
利用者さんとの信頼関係づくり(ラポール形成)って具体的にどうすればいいの?
社会福祉士として働く中で、多くの人が一度は悩むのが「利用者との関係性や距離感」です。この記事が、現場での迷いを解消するヒントになれば嬉しいです!
※社会福祉士の倫理綱領や基本原則について、まずは全体像をしっかり復習しておきたい方は、
こちらの記事
「社会福祉士の倫理綱領をわかりやすく解説!現場で役立つ基本原則まとめ」
を先に読んでおくと、この後の解説がさらにスムーズに理解できますよ!

【この記事の著者(専門家)について】
・保有資格:国家資格 社会福祉士 / 相談支援専門員 / 2級FP技能士(1級取得へ挑戦中)
・専門分野と経歴(実務経験9年以上):
・現在:障害者支援施設の生活支援員(2020年〜現在)
・前職:高齢者福祉施設(ショートステイ3年 / 福祉用具専門相談員1年)
・運営者からのメッセージ:福祉の現場経験とファイナンシャルプランナー(FP)の知見を活かし、福祉職の働き方やキャリアアップに役立つ正確な情報を発信しています。
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なぜ社会福祉士と利用者との関係を「倫理綱領」から考えるべきなのか?
対人援助の現場では、「良かれと思ってやったこと」が裏目に出てしまったり、親しみやすさを意識しすぎるあまり友達のような関係になってしまったりと、主観的な判断だけでは解決できない難しい場面に日々直面します。
だからこそ、自分自身の感覚だけで悩むのではなく、専門職としての客観的な共通基準である「倫理綱領」や「行動規範」をベースに関わり方を考える必要があります。
支援の仕事をしていて、以下のような場面に出くわしたことはありませんか?
・利用者さんから「個人的に連絡を取り合いたい」と言われた時
・良かれと思ってやった支援が、依存を生んでしまっていると感じた時
・利用者さんからの要求がエスカレートして、判断に悩んだ時
このような困りごとや葛藤が生じたとき、「社会福祉士の倫理綱領」を頼りにすることで、専門職としてのあるべき解決へのヒントや、適切な支援の道筋が見えてきます。
1. 社会福祉士としての「価値観」の目安になる
倫理綱領には、私たちがプロフェッショナルとして共有すべき『人間の尊厳』や『社会正義』といった根本的な価値観が示されています。
日々の慌ただしい業務の中で「この対応は本当にクライエントのためになっているのだろうか?」とブレそうになった時、倫理綱領を振り返ることで、社会福祉士としての原点に立ち返り、ブレない判断の目安を得ることができます。
2. 具体的な関わり方を示す「行動規範」に繋がっている
「倫理綱領」と「行動規範」は、それぞれ以下のような役割を持っています。違いを簡単に表にまとめました。
| 種類 | どのようなもの? | 実務での役割 |
|---|---|---|
| 倫理綱領 | 社会福祉士として持つべき 「共通の価値観」 | 悩んだときの「羅針盤(判断の目安)」になる |
| 行動規範 | 倫理綱領を 「行動レベルに具体化」したもの | 明日からの「具体的な関わり方」のルールになる |
倫理綱領・行動規範から学ぶ「利用者との適切な関係作り」5つのポイント
ここからは、社会福祉士が利用者(倫理綱領内では「クライエント」と表現されるため、以下クライエントと表記します)との関係を築く上で、特に重要となる倫理綱領と5つの行動規範を、現場の具体例を交えて解説します。
まず全体像を把握できるように、これから解説する5つの行動規範と、福祉現場での具体的な事例を一覧表にまとめました。
| 行動規範 | 目指すべき「適切な関係」 | 現場での具体例 |
|---|---|---|
| 1-1 | 援助のための関係 | デイ相談員:私的な連絡や自宅訪問はNG |
| 1-2 | 対等な協力関係 | ケアマネ:上下関係ではなく横並びのパートナー |
| 1-3 | 不適切な関係の禁止 | 全福祉職:過度な依存や特定の利用者への肩入れに注意 |
| 1-4 | 利益利用の禁止 | 全福祉職:宗教・政治の勧誘や特定業者からのマージンNG |
| 1-5 | 利益相反への対応 | 全福祉職:親族が利害対立する場合は担当を交代する |
基本原則:専門的援助関係の最優先と自己利益の禁止
1.(クライエントとの関係)社会福祉士は、クライエントとの専門的援助関係を最も大切にし、それを自己の利益のために利用しない。
社会福祉士の倫理綱領
社会福祉士とクライエントの関係の根底にあるのは、友人関係でも家族関係でもなく、あくまで「専門的援助関係(プロフェッショナルな関係)」です。
これを大前提として、5つの行動規範をみていきましょう。
行動規範1-1:私的な関係ではなく「援助のための関係」であると説明する
社会福祉士はクライエントに対して、相互の関係は専門的援助関係に基づくものであることを説明しなければならない。
社会福祉士の行動規範
えば、デイサービスの生活相談員が利用者と関わる場面を想定してみましょう。親しみやすさから「プライベートな連絡先を教えてほしい」「個人的に家に来て手伝ってほしい」と頼まれることがあります。
しかし、社会福祉士はあくまで『課題解決と自立支援』のために存在する専門職です。最初に「私は相談員としてあなたをサポートします」という枠組み(構造化)を明確にし、私的な連絡や業務外の訪問といった一線を越えないよう、クライエントに理解してもらう姿勢が不可欠です。
行動規範1-2:上下関係ではなく「対等な協力関係」を尊重する
社会福祉士は、クライエントとの専門的援助関係を構築する際には、対等な協力関係を尊重しなければならない。
社会福祉士の行動規範
今度は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーと高齢のクライエントの例で考えてみます。ケアマネジャーは制度やサービスに詳しいため、ともすれば主導権を握りやすく、クライエント側も「先生の言う通りにします」と従属的になってしまうことがあります。
しかし、社会福祉士の役割は『指示を出すこと』ではありません。制度のプロである社会福祉士と、自身の人生の主体者であるクライエントが横並びになり、一緒に課題を乗り越えていく「対等なパートナーシップ」こそが、本来あるべきラポール(信頼関係)の形です。
行動規範1-3:友人や恋人のような「不適切な関係」を持たない
社会福祉士は、専門職としてクライエントと社会通念上、不適切とみなされる関係をもってはならない。
社会福祉士の行動規範
ここでいう「不適切な関係」とは、専門職としての客観性を失った関係のことです。ガイドブックでは以下のように定義されています。
社会福祉士がクライエントに対して友人や恋人に対するかのような感情(例えば好き、嫌い、苦手などの感情)を抱き、私的な関係(交際など)に発展させること、あるいはそれを期待させるような関わりを持つこと。
三訂 社会福祉士の倫理 倫理綱領実践ガイドブック p55
性的な言動やストーカー行為と見なされるような言動を伴う関係
三訂 社会福祉士の倫理 倫理綱領実践ガイドブック p55
「自分は絶対に大丈夫」と思っていても、熱心に支援を続ける中で、クライエントから過度な依存(転移)をされたり、逆に自分自身が特定のクライエントに肩入れ(逆転移)してしまうリスクは常に隣り合わせです。
自分の心に「これはプロの関わりとして適切か?」と常に問いかけ、客観性を保ち続ける自己覚知(じこかくち)が非常に重要になります。
行動規範1-4:自分の個人的な主義主張や「利益のために利用」しない
社会福祉士は、自分の個人的・宗教的・政治的な動機や利益のために専門的援助関係を利用してはならない。
社会福祉士の行動規範
固い信頼関係で結ばれたクライエントに対して、社会福祉士が自身の個人的な価値観、特定の宗教への勧誘、あるいは支持する政党の選挙活動などを押し付けることは絶対にあってはなりません。
また、個人的に懇意にしている特定の民間業者や有料老人ホームだけを不当に優遇して紹介し、裏でマージン(紹介料)を受け取るような行為もこれに該当します。専門職としての優位な立場を悪用した、重大な倫理違反となります。
行動規範1-5:「利益相反」が避けられない場合は関係を終了し、クライエントを守る
社会福祉士は、クライエントと利益相反関係になることが避けられないときは、クライエントにその事実を明らかにし、専門的援助関係を修了しなければならない。その場合は、クライエントを守る手段を講じ、新たな専門的援助関係の構築を支援しなければならない。
社会福祉士の行動規範
利益相反(りえきそうはん)とは、「クライエントの利益」と「社会福祉士(または所属する組織)の利益」が衝突し、結果としてクライエントの権利や利益が損なわれてしまう状態をいいます。
例えば、担当しているクライエントの利害対立相手が、偶然にも社会福祉士の実の家族や親族であった場合、公平・中立な支援を行うことは極めて困難になります。このような事態が避けられない場合は、事実を隠さずにクライエントへ説明した上で担当を降り、他の職員や機関へと責任を持って引き継ぐ(リファーする)義務があります。
記事作成時に参考にした書籍
まとめ:適切な距離感(プロフェッショナル・バウンダリー)の維持が、質の高い支援に繋がる
対人援助職として、クライエントとの間に引くべき適切な境界線のことを「プロフェッショナル・バウンダリー」と呼びます。
冷たすぎる対応ではクライエントの本音や真の課題を引き出せませんが、逆に近すぎる関係は過度な依存やトラブルを生み、結果的にクライエント自身を傷つけることになりかねません。最後に、適切な関係性を保つための要点を振り返りましょう
1. 私的な関係ではなく、課題解決のための「専門的援助関係」を厳守する
2. 上下関係を排除し、横並びの「対等な協力関係」を築く
3. 友人・恋人のような距離感にならず、依存や肩入れ(逆転移)に注意する
4. 自身の政治・宗教・個人的利益に、クライエントとの関係を利用しない
5. 公平な支援ができない「利益相反」の時は、速やかに他機関や他職員へ引き継ぐ
日頃の実践や実習の中で、「関わり方に少し迷いが出てきたな」「距離感が難しくなってきたな」と感じたときは、ぜひ一度この倫理綱領や行動規範に立ち戻り、プロとしてのバウンダリーを再確認してみてくださいね。皆さんの素晴らしい支援活動を心から応援しています!
最後までお読みいただきありがとうございました!
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今回ご紹介した適切な距離感のベースとなる、
倫理綱領の全体像や重要ポイントは「社会福祉士の倫理綱領をわかりやすく解説!現場で役立つ基本原則まとめ」で詳しく解説しています。
実務や実習の振り返りに、ぜひこちらもあわせて参考にしてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました!





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