【図解】福祉のストレングス視点とは?意味と実践事例7選をわかりやすく解説

福祉におけるストレングスとは?その意味と活かし方をわかりやすく解説 基礎研修について

福祉の仕事に関わる中で、「ストレングス」という言葉を耳にする機会が増えてきました。

しかし、

「具体的にどんな意味なの?」
「どう支援に活かすの?」

と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、福祉分野における「ストレングス」の意味や活用方法を、

根拠を交えて詳しく解説します。

福祉職の方だけでなく、支援を学びたいすべての人に役立つ内容ですので、

ぜひ最後までご覧ください!

この記事で解説していること

・福祉分野におけるストレングスの意味
・ストレングスの視点を活かす方法
・ストレングスの視点の事例(ソーシャルワーク実践事例集より)

>>この記事で参考にした書籍はこちら

ふくぴー
ふくぴー

【この記事の著者(専門家)について】

保有資格:国家資格 社会福祉士 / 相談支援専門員 / 2級FP技能士(1級取得へ挑戦中)

専門分野と経歴(実務経験9年以上):
 ・現在:障害者支援施設の生活支援員(5年〜)
 ・前職:高齢者福祉施設(ショートステイ3年 / 福祉用具専門相談員1年)

運営者からのメッセージ:福祉の現場経験とファイナンシャルプランナー(FP)の知見を活かし、福祉職の働き方やキャリアアップに役立つ正確な情報を発信しています。

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ストレングスとは?福祉における意味をわかりやすく説明

ストレングス(Strength)とは、日本語で「強み」「長所」という意味を持つ言葉です。

福祉の現場では、支援対象者が持つ「強み」「資源」に注目して支援する考え方を指します。

ストレングス視点とは?

・支援対象者が持つ「強み」「豊かさ」「たくましさ」「社会資源」などプラス面に着目すること

これまでの福祉では、どうしても「できないこと」「困っていること」に目が向きがちでした。

しかし、ストレングスの視点はその逆なんです。

「すでに持っている力」や「可能性」に焦点を当てることで、利用者の自己決定や自立支援を目指します。

ラップ氏による「ストレングスモデル」は、

精神障害を持つ人たちの支援において、

できないことよりもできることを重視するアプローチとして世界的に注目されています。


なぜ福祉分野においてストレングスの視点が重要なのか?

福祉現場でストレングスの考え方が重視される理由は、

次のとおりです。

なぜストレングスの視点が重要なのか?
POINT

なぜ福祉分野でストレングスの視点が重要なのか?

1
自己肯定感を高めるため
「できないこと」ではなく「できること」に注目することで、利用者の自信を育みます。
2
自立支援に繋がるため
本人の力を活かす支援は、自立へのモチベーションを高めるきっかけになります。
3
信頼関係を深めるため
利用者の良い面や強みを尊重することで、支援者と利用者の絆(信頼関係)が強くなります。

たとえば、高齢者施設で「歩行が不安定な方」に対して、「歩けない」ことを強調するのではなく、

手すりを使えば歩ける」という強みに注目し、

リハビリや生活支援を設計することがストレングス視点の実践です。


支援にストレングスを活かす具体的な方法とは?

ストレングスを支援に取り入れるには、以下のステップが効果的です。

ストレングス実践の3ステップ
PROCESS

支援に活かすストレングス実践の3ステップ

1
① ストレングスの把握
本人の得意なこと、成功体験、興味関心を丁寧にヒアリングします。
2
② ストレングスの活用
目標設定や支援計画の中に、本人の強みを組み込みます。
3
③ ストレングスのフィードバック
小さな成功体験を言語化してフィードバックし、さらに強みを育てます

「ソーシャルワーク実践事例集」からストレングの視点を学ぶ

では、ストレングス視点の支援の事例を見ていきたいと思います。

参考にした書籍はこちらです

笑顔で相談に乗る社会福祉士(相談員)のイラスト
ストレングス視点は
あらゆる福祉の現場で活かせるアプローチです!
この事例集の特徴

・社会福祉士や相談援助職の向けの事例集
・障害者、子供、家庭、低所得、高齢者と幅広い分野の事例を収録
・インテークから集結までの過程を詳細に解説

>>この記事で参考にした事例集についてはこちらの記事で詳しく解説しています

事例1 

事例の概要

アルコール依存症の夫と知的障害のある妻。子供は三人。中学生の長男と小学生の長女は不登校気味である。経済的に困窮しているという家族への支援を行うワーカーの事例である。

この事例におけるワーカーのストレングスの視点

課題のある家庭だが、
・子供を健康に育てていること
・老朽化した家屋を修理し家庭の維持に努めていること
を口頭で評価した

事例で見るストレングス視点の実践
CASE STUDY

事例で見る支援ワーカーのストレングス視点

抱えている複合的な課題(事例概要)
アルコール依存症の夫 知的障害のある妻 子ども3人(不登校気味) 経済的困窮
様々な課題が重なり、困難な状況にある世帯への経済的・生活的支援を行うケース。
ワーカーの視点転換
ワーカーが見出した「ストレングス」
困難な中でも、子どもを健康に育てていること
老朽化した家屋を自分で修理し、家庭の維持に努めていること
実践ポイント: これらを口頭で直接評価し、家族の自信と信頼関係につなげた。

事例2

事例の概要

独居の高齢者への支援。体調の悪化をきっかけに、生活が徐々に困難になりつつある。介護保険の申請の依頼を受けたケアマネージャーの事例である。

この事例におけるケアマネージャーのストレングスの視点

・贅沢をせずに地道に生活をしてきたことを伝えた

事例で見るケアマネジャーのストレングス視点
CASE STUDY

事例で見るケアマネジャーのストレングス視点

生じている生活課題(事例概要)
独居高齢者 体調悪化 生活困難の拡大 介護保険の申請依頼
体調悪化をきっかけに日常の維持が難しくなり、ケアマネジャーへ介護保険申請の相談が持ちかけられたケース。
ケアマネジャーの視点転換
ケアマネジャーが見出した「ストレングス」
これまで贅沢をせず、堅実に地道な生活を積み重ねてきた本人の生き方・自立意識
実践ポイント: これまでの歩みを肯定・評価して伝えることで、支援を受け入れる心理的ハードルを下げ、信頼関係を構築。

事例3

事例の概要

母と娘ともに統合失調症である家庭。共に入院しており先に娘が退院し、親子での在宅生活を目指している。母親のリバビリ依頼を受けた介護老人施設の相談員の事例。

この事例における相談員のストレングスの視点

・親子ともに統合失調症があるから在宅生活は困難であると固定観念を持たずに、「親子がお互いを思いやる気持ち」や「また一緒に暮らしたい」という本人の強い希望(ストレングス)に目を向けて意欲を引き出した。

事例で見る相談員のストレングス視点
CASE STUDY

事例で見る施設相談員のストレングス視点

抱える状況と固定観念の壁(事例概要)
母娘ともに統合失調症 共に医療機関へ入院 娘が先にか退院 母親のリハビリ依頼
一見すると「親子ともに精神疾患があり在宅生活は困難」と固定観念で諦められがちな、親子での再度の在宅生活を目指すケース。
相談員の視点転換
相談員が見出した「ストレングス」
親子がお互いを思いやる温かい絆と気持ち
「また一緒に暮らしたい」という本人の強い希望・目標
実践ポイント: 病気や「無理だろう」という固定観念にとらわれず、本人の強い思い(ストレングス)に目を向けリハビリへの意欲を引き出した。

事例4

事例の概要

罪を犯してしまい社会的排除状態になった知的障害者。障害者施設に入所しながら、就労継続支援Bに型の事業所に通い社会参加を目指している。障害者施設に所属するワーカーの事例である。

この事例におけるワーカーのストレングスの視点

・社会復帰への不安が強い中、本人の得意な作業や真面目に取り組める姿勢を見逃さずに評価した。作業がうまくいった時にはしっかり褒め、スモールステップで成功体験を重ねることで自信をつけてもらった。

事例で見る障害者施設ワーカーのストレングス視点
CASE STUDY

事例で見る障害者施設ワーカーのストレングス視点

抱える背景と課題(事例概要)
知的障害 触法(社会的排除状態) 障害者施設に入所 就労継続支援B型に通所
社会的排除状態から地域・社会参加を目指す中で、社会復帰に対して強い不安を抱えているケース。
ワーカーの視点転換
ワーカーが見出した「ストレングス」
本人が「得意な作業」を見逃さずに発見・評価
作業に真面目に取り組める姿勢や真摯さ
実践ポイント: 作業成功時にしっかり褒め、スモールステップで「成功体験」を積み重ねることで自信を再構築した。

事例5 

事例の概要

夫からの暴力が原因で離婚。住居や生活費に困り、福祉事務所に相談に来た21歳女性の事例。子供と暮らしながら生活再建を目指している。母子生活支援施設に所属するワーカーの事例である。

この事例におけるワーカーのストレングスの視点

・当初はお金の管理が苦手であり公共料金の支払いが滞ることもありましたが、「子供と一緒に新しい生活をやり直したい」という母親としての粘り強さに着目した。家計簿の工夫などで徐々に支払いが滞らなくなった本人の主体的な頑張りを、口頭でしっかりと評価した。

事例で見る母子支援施設ワーカーのストレングス視点
CASE STUDY

事例で見る母子支援施設ワーカーのストレングス視点

抱える生活課題(事例概要)
DV離婚(21歳女性) 住居・生活費困窮 金銭管理の課題 母子生活支援施設で生活再建
DV被害を経て生活基盤を失い、当初は家計管理や滞納などの課題も抱えながら子どもとの再出発を目指すケース。
ワーカーの視点転換
ワーカーが見出した「ストレングス」
「子どもと新生活をやり直したい」という母親としての強い粘り強さ
家計簿の工夫などを通して未払いをなくそうとする主体的な努力
実践ポイント: 管理の苦手さに着目するのではなく、改善に向かう主体的な取り組みや努力を口頭でしっかりと評価した。

事例6

事例の概要

脳血管疾患により中途障害者となった夫と外国人妻。前妻との間にできた二人の子供と外国人妻との関係性を構築しながら在宅生活に向けて支援をする病院のワーカーの事例である。

この事例におけるワーカーのストレングスの視点

・複雑な家族関係や中途障害という重い困難がある状況でしたが、外国人妻の「夫を支えようとする懸命さ」や「前妻の子供たちと向き合おうとする前向きなエネルギー」を強力なストレングスとして捉え、家族全体の強みを引き出すアセスメントを行った。

事例で見る病院ワーカーのストレングス視点
CASE STUDY

事例で見る病院ワーカーのストレングス視点

複雑な家族背景と課題(事例概要)
夫の脳血管疾患(中途障害) 外国人妻 前妻との子ども2人 在宅復帰に向けた関係構築
中途障害という重い試練に加え、国籍の違いやステップファミリーとしての複雑な関係性の中で在宅復帰を目指すケース。
ワーカーの視点転換
ワーカーが見出した「ストレングス」
外国人妻の「夫を支えようとする懸命さ」
前妻の子どもたちと向き合おうとする「前向きなエネルギー」
実践ポイント: 複雑な関係や難しさに捉われず、妻の持つ前向きな力を「強力なストレングス」として捉え、家族全体の強みを引き出すアセスメントを行った。

事例7

事例の概要

統合失調症により長期入院している男性。退院し地域で生活するために支援を行っている精神科病院のワーカーの事例である。

この事例におけるワーカーのストレングの視点

・退院に向けてのアセスメントにおいて、本人と共にストレングスを列挙していった。

事例で見る精神科病院ワーカーのストレングス視点
CASE STUDY

事例で見る精神科病院ワーカーのストレングス視点

長期入院と地域移行の課題(事例概要)
統合失調症 長期入院男性 精神科病院ワーカー 地域生活への退院支援
長期間の入院生活から、地域社会へ復帰し自分らしい生活を再建するための支援を行っているケース。
ワーカーの視点転換
ワーカーが見出した「ストレングス」
アセスメントにて「本人と共に」ストレングスを探索・列挙
本人が自身の持つ力・可能性(ストレングス)に自ら気づくプロセス
実践ポイント: ワーカーが一方的に評価するのではなく、共同で「強み」を言語化・可視化することで、退院や地域生活に対する主体的意欲を引き出した。

ストレングス視点は、どんな福祉分野にも応用できるアプローチです。
「できないことを補う」のではなく、「できることを伸ばす」支援を心がけていきましょう。


よくある疑問Q&A

Q:ストレングス視点だけでは支援できないのでは?
A:その通りです。ストレングス視点は重要ですが、必要な支援(例:医療的ケア、経済的支援など)を怠るわけではありません。バランスを取りながら「本人主体」を大切にするのがポイントです。

Q:支援者に求められるスキルは?
A:傾聴力、アセスメント力、ポジティブな視点で物事を見る力が求められます。
特に「本人の言葉をそのまま受け取る姿勢」が大切です。


職場の人間関係においてもストレングス視点は活用できる

同僚や上司のマイナス面を
プラスの視点に変換してみましょう

「職場の人間関係を良好に保つ」上でもこのストレングス視点は有効です。

以下の書籍を参考に学んでみましょう!

書籍名:福祉職員こころの強化書: 穏やかな気持ちで人を支援する専門職になる
著者:久田則夫
出版社:中央法規出版株式会社

勤務時間中、その人を見かけ、マイナスの感情が心の中に湧き出てきたら、プラスの視点でとらえ、ノートに書き出した内容を心の中に思い浮かべる。「○○さんは細かいことに気づける人」「○○さんは自分の意見を勇気を出して発言できる人」「○○さんは間違いをそのままにしないで指摘して正そうとする人」などと心の中でつぶやくようにします。

福祉職員こころの強化書: 穏やかな気持ちで人を支援する専門職になる より

マイナスの言葉をプラスの言葉に変えるだけで認識が変わり、

これまでとは違った側面でその職員さんをみれると思います。

人間関係で悩みは尽きませんよね、

一緒に頑張っていきましょう!

まとめ:福祉の支援は「できる」を見つけることから

福祉におけるストレングスとは、

利用者がすでに持っている力に着目し、それを支援に活かしていく考え方です。

「できないこと」を補うだけではなく、

「できること」に着目していくことで、よりよい支援を目指していくものです

現場で今日から使えるストレングス視点、ぜひ意識してみてください!

※ストレングス視点とセットで大切な「エンパワメント」の視点についても、

以下の記事でわかりやすく解説しています。

>>福祉におけるエンパワメントとは?意味と実践事例をわかりやすく解説

今回ご紹介した7つの事例は、この本に掲載されている実践マニュアルのほんの一部です。

「明日からの担当ケースで、具体的にどんな言葉をかければストレングスを引き出せるのか?」
「記録やアセスメントシートには、どう表現して書けばいいのか?」

現場で今すぐ使える『魔法の声かけフレーズ』や、そのまま真似できるアセスメントの文例が、この1冊にギッシリ詰まっています!

教科書を何度読んでも分からなかった「ストレングス視点の正解」が、実際の事例を通して手に取るように分かりますよ。

ぜひデスクに1冊置いて、日々のケースに活用してみてください!

最後までお読み頂きありがとうございました!


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