この記事では、
福祉の世界におけるアドボカシーの具体例について解説しています

アドボカシーの具体例を知りたいぁ
という方にとって参考になれば嬉しいです!

【この記事の著者(専門家)について】
・保有資格:国家資格 社会福祉士 / 相談支援専門員 / 2級FP技能士(1級取得へ挑戦中)
・専門分野と経歴(実務経験9年以上):
・現在:障害者支援施設の生活支援員(2020年〜現在)
・前職:高齢者福祉施設(ショートステイ3年 / 福祉用具専門相談員1年)
・運営者からのメッセージ:福祉の現場経験とファイナンシャルプランナー(FP)の知見を活かし、福祉職の働き方やキャリアアップに役立つ正確な情報を発信しています。
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1. アドボカシーの意味とは?

アドボカシー(Advocacy)とは、権利擁護のことを指し、社会的に弱い立場にある人々の声を代弁し、権利を守る活動です。
福祉の現場では、高齢者、障害者、子ども、生活困窮者、などの利用者が想定されます
アドボカシーが求められる場面の例
- 【障害者】 合理的配慮(職場や学校でのサポート)を受けられず、不利益を被っているとき
- 【高齢者】 認知症などにより、介護施設での虐待や、悪質な詐欺被害に遭っているとき
- 【子ども】 家庭環境(ネグレクト等)が原因で、適切な教育や生活支援を受けられないとき
- 【生活困窮者】 知識不足や行政窓口での対応により、必要な福祉制度(生活保護など)を利用できないとき
社会福祉士にとってのアドボカシー
社会福祉士が支援を行うクライエントは、上記のような立場が弱い方が多く、
自ら声を上げることができない場合が多くあります。
社会福祉士は、そのような方々の声に耳を傾け、行動を起こし支援をしていく必要があります。
社会福祉士にとって、権利擁護は重要な責務の一つであると言えます。
「社会福祉士の倫理綱領」に明文化されており、日々の活動においてしっかりと意識したいところです
社会福祉士の倫理綱領より
社会福祉士は、クライエントの権利を擁護し、その権利の行使を促進する。
社会福祉士の倫理綱領
アドボカシーの「4つの種類」を知ろう
ひとことに「アドボカシー」と言っても、実は「誰が誰のために行うか」によって、以下の4つの種類に分類されます。これらを知っておくと、現場での自分の役割がより明確になります。

- セルフ・アドボカシー(自己擁護):
当事者自身が自ら声を上げ、権利を主張すること。(例:障害のある人が自分に必要な合理的配慮を企業に伝える) - ピア・アドボカシー(仲間による擁護):
同じ悩みや境遇を持つ当事者同士が支え合い、力を合わせて権利を主張すること。(例:障害者団体や患者会による社会への働きかけ) - シチズン・アドボカシー(市民による擁護):
専門職ではない一般の市民ボランティアが、1対1の信頼関係に基づいて当事者を支えること。 - リーガル・アドボカシー(法的擁護):
弁護士や成年後見人など、法律の専門家が制度や法的な権限に基づいて当事者の権利を守ること。
社会福祉士などの専門職が行う代弁活動は、これらとは別に「システム・アドボカシー(制度や社会を変える動き)」や「ケース・アドボカシー(個別の利用者への支援)」に分かれることもあります。まずは「本人が自ら伝える支援(セルフ)」なのか、「自分が代わりに伝える支援(代弁)」なのかを意識することが大切です。
| 種類 | 行う人(主体) | 具体的な支援のイメージ |
|---|---|---|
| セルフ | 当事者本人 | 自分で「こうしてほしい」と企業や行政に伝える |
| ピア | 同じ境遇の仲間 | 患者会や障害者団体が、みんなで協力して声を上げる |
| シチズン | 市民ボランティア | 専門職ではない一般市民が、1対1で寄り添い支える |
| リーガル | 弁護士・後見人 | 法律の知識や国家資格を使って、法的に権利を守る |
2. 福祉分野ごとの具体的なアドボカシー事例を解説
① 障害福祉のアドボカシー事例
- 合理的配慮を求める支援
ある企業で発達障害のある従業員が適切な配慮を受けられずに困っていました。支援者が企業と交渉し、作業環境の調整や業務内容の明確化を行うことで、当事者が働きやすくなりました。 - 障害者差別解消法を活用した訴え
公共交通機関のバリアフリーが不十分であることを訴え、自治体と交渉してエレベーター設置を実現。 - 成年後見制度を活用した財産管理支援
知的障害のある方が詐欺の被害に遭うリスクがあったため、成年後見制度を利用し、金銭管理のサポートを実施。
・参考文献
「聴覚障害児のセルフアドボカシー指導と合理的配慮について」
② 高齢福祉のアドボカシー事例
- 高齢者の虐待防止活動
介護施設での身体拘束が問題視され、第三者機関が調査を行い、介護の質の向上を図る。 - 医療・介護サービスの適正利用を支援
不要な入院や施設入所を防ぐため、地域包括支援センターが本人の希望に沿ったケアプランを提案。 - 消費者被害から守る取り組み
高齢者が悪質商法に騙されるケースが増加。地域の福祉相談員が定期的に見守り、トラブルを未然に防ぐ。
③ 児童福祉のアドボカシー事例
- 児童虐待を防ぐための支援
スクールソーシャルワーカーが学校と連携し、虐待が疑われる児童を保護。 - 特別支援教育を受ける権利の擁護
発達障害のある児童が適切な教育を受けられるよう、学校との交渉を行い、個別支援計画を策定。 - 里親制度の普及・支援活動
児童養護施設で育つ子どもたちが家庭で暮らせるよう、里親制度の普及を進める。
④ 生活困窮者支援のアドボカシー事例
- 生活保護申請の同行支援
窓口で申請を拒否されたケースで、支援者が同行し、適切な手続きをサポート。 - 住宅確保要配慮者への支援
ホームレス状態の人が住まいを得るため、地域の福祉団体が住宅確保支援を実施。 - 就労支援と社会復帰サポート
職業訓練や就労支援プログラムを活用し、生活困窮者が安定した収入を得られるよう支援。
【深掘り】アドボカシーの現場で起きる「リアルな解決プロセス」
分野別の事例をいくつか紹介しましたが、「実際、現場の支援者はどう動いているの?」と疑問に思う方もいるはずです。ここでは、先ほど紹介した「生活保護申請の同行支援」を例に、具体的な解決までのストーリーを見てみましょう。
① 課題の発見(本人のSOS)
所持金が数百円になり、家賃も滞納して困窮しているAさん(精神的な障がいを抱えている)と出会う。Aさんは以前、1人で福祉事務所の窓口に行ったが、「まだ若いから働けるでしょ」と言われ、申請できずに諦めてしまっていた。
② 障壁の分析(なぜ権利が守られていないか)
Aさんは病気の影響で、窓口の緊張感から「自分がどれだけ困窮しているか」「なぜ働けないのか」をうまく説明できていなかったことが判明。窓口側(行政)も、Aさんの正確な状況を把握できていなかった。
③ 支援者の介入(アドボカシーの実践)
社会福祉士がAさんに同行。事前にAさんの資産状況や、医師の診断書などの「客観的な事実」を整理した書類を準備。窓口では、Aさんの「生活保護を申請したい」という明確な意思を代弁し、法的な要件(保護の要件)を満たしていることを冷静かつ的確に伝える。
④ 結果(権利の確保)
窓口での誤解が解け、生活保護の申請が正式に受理された。Aさんは「1人では絶対に無理だった。話を聴いてもらえて安心した」と涙を流された。
このように、アドボカシーとは単に「代わりに文句を言う」ことではありません。本人の意思を確認し、障壁となっている原因を分析し、制度や法律に基づいて冷静に交渉するプロセスこそが、本当のアドボカシーです。
3. アドボカシーを実践する上での「注意点とジレンマ」
クライエントの強い味方になるアドボカシーですが、実践する際には、福祉職が必ず直面する「罠やジレンマ」があります。以下の2点は必ず頭に入れておきましょう。
① 「パターナリズム(お節介)」との境界線
支援者が「本人のためを思って」と熱心になるあまり、いつの間にか支援者自身の正義感や意見を押し付けてしまうことがあります。これを「パターナリズム(父権的介入)」と呼びます。
アドボカシーの主役は、あくまで「利用者本人」です。「私はこうしてあげたい」ではなく、「本人はどうしたいと言っているか」を常に自問自答しなければ、ただの押し付けになってしまうので注意が必要です。
② 代弁の限界(本人の意思が確認できないとき)
重度の認知症や知的障害、あるいは乳幼児など、自分の意思を言葉で表現することが極めて難しいクライエントもいます。
この場合、「これが本人の望んでいることに違いない」と決めつけるのは危険です。本人のこれまでの生活歴や、表情、行動、ご家族の話などを総合的に分析し、「本人の最善の利益(インプライド・アドボカシー)」をチームで慎重に検討し続ける姿勢が求められます。
4. アドボカシーを実践するためにできること
- 利用者の声をしっかり聴く
- 必要な制度や法律を学び、適切な支援を行う
- 福祉専門職(相談支援員、弁護士、行政職員)との連携を強化する
参考書籍
4. まとめ
福祉の現場では、アドボカシーが重要な役割を果たします。
支援者が適切に権利擁護を行うことで、利用者が安心して生活できる社会を実現できます。
支援の現場でできることを考え、実践していきましょう!




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